pick up 子育て

おやつは食べ過ぎないように工夫をしましょう【子どものココロ】

筑波大学教授の徳田克己先生が、ママの子育てに関する悩みに答えてくれるコーナー。今回のママの悩みは、「子どものおやつ」についてです。

4歳の息子は食事よりもお菓子が大好きで「おかし、ちょうだい」と騒がれると、つい与えてしまいます。当然ですが、食事をきちんと食べない悪循環になり、困っています。

子どもはテレビを見ている時、ゲームをしている時、お菓子を食べている時は静かになるので、お母さんはつい「ママ忙しいの、お菓子でも食べていてね」などと、気軽に与えてしまいがちです。

お菓子は与えてもいいのですが、子どもの健やかな心身の発達のために、与え方への配慮が必要です。

お菓子はだらだらと食べさせない

食事前にお菓子でお腹をふくらませてしまうと、食事をきちんと食べることができません。すると食後まもなくお腹が空いて、またお菓子を食べてしまう。四六時中、何かを食べている「だらだら食べ」の状態になるのです。それは身体のために好ましくありません。

さらに注意が必要なのは、おやつの食べ過ぎで食のリズムが乱れ、食の乱れが心の乱れにもつながることです。

 

食のリズムは心のリズムに影響する

知人の精神科医によれば、思春期に心を病んで入院してくる子どもたちの多くは、お菓子を食べ過ぎる傾向があるそうです。入院すると、三食きちんとごはんを食べるように指導され、食のリズムが整うと、病気も改善していくといいます。食のリズムと心のリズムが、深く関わっている証です。

私が相談を受けているケースでも、問題行動の出ている子どもは袋菓子をよく食べます。子どもが問題行動を起こしたときに、お母さんがお菓子を与えて抑えさせているのです。

また、ある育児ノイローゼのお母さんはいつもお菓子を食べていないと、カッとなってしまいます。「お父さんの帰りが遅い!」などとイライラしても、お菓子を口に入れると落ち着くのです。

人間には本来、不安があっても自分でコントロールする力があるのですが、中には嗜好品で不安を紛らわせる人がいます。お菓子もその一つです。

幼児期に「だらだら食べ」が身についてしまうと、成長して不安感を持ったとき、お菓子で紛らわせるようになる恐れがあります。不安から逃げるために、お菓子を食べずにはいられなくなるのです。

 

少量で満足できる食べ方の工夫を

お菓子を食べてはいけないわけではありません。三度の食事をさまたげない程度の間食は必要。おいしいおやつは、子どもの楽しみでもあります。大事なのは、少ない量で、いかに満足させるかです。
食べ過ぎは、ほんのひと手間で抑えることができます。お菓子を袋ごと与えるのではなく、お皿に盛って出すのです。すると、子どもは見通しをもって、お皿にある量で満足するように食べることができます。これは大人でも同じ。

ただし、「もっと食べたい」と言われてもおかわりはいけません。そこで与えてしまっては、お皿に盛る意味はまったくなくなりますよ。

 

筑波大学 医学医療系教授 教育学博士 臨床心理士 徳田 克己先生
子どもたちが笑顔で生き生きと過ごせることをめざし、研究・実践に取り組む。幼稚園や保育所、子育て支援施設を回り、発達相談に応じている。最近はディズニー映像の教育的効果や「クレヨンしんちゃん」の分析などの実践研究を手がけている。保護者を対象にした講演会や「お父さん講座」なども好評。
一覧へ戻る

関連する記事

カテゴリ一覧