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本当に大丈夫?気になる同時接種・混合ワクチンの安全性【Dr.村中璃子のからだノート】

子育ては24時間365日のオンコール。「病気だって休めない」あなたと、 あなたの大切な家族を守るため、医療や健康にまつわる知識を身につけよう。

日本のワクチンスケジュールはパズルのよう!子どもにワクチンを受けさせるため、私たちはいったい何度病院に足を運ばなければならないのでしょう。
「すべてのワクチンが1回で済んだらいいのに」そんなニーズから生まれた、2つの発明があります。
同時接種と混合ワクチンです。

同時接種でも本数は変わらない

同時接種とは、同じ日に何種類ものワクチンをまとめて接種することです。
世界中のデータから、どんなワクチンを、どんな組み合わせで、どんな本数、たとえ小さな子に同時接種したとしても、安全性・効果ともに問題ないことが分かっています。人間の免疫応答というのは、実に素晴らしい柔軟性を持っているのです。
ところが、2011年、「ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンの同時接種を行った赤ちゃんが1カ月の間に7名亡くなった」という報告がありました。
いずれのケースも接種から死亡までの時間が短く、同時接種との因果関係を否定できないことから、厚生労働省はすぐにヒブと肺炎球菌のワクチン接種を見合わせるよう通達しました。

しかし、調査の結果、亡くなった7例のうち3例が心臓や肺の重い病気を持っていたことが分かりました。また、接種年齢である0〜2歳の子どもが乳幼児突然死症候群などで死亡する率と、ヒブ・肺炎球菌の同時接種者の死亡率とに差がないことも分かりました。
そのため、専門家の委員会は、「同時接種と子どもたちの死亡に因果関係はない」という評価を出し、厚労省は、ヒブ・肺炎球菌の同時接種を、わずか1カ月足らずで再開させています。

同時接種の最大のデメリットは、小さな子どもに、1日に何本もの注射針を刺さなければならないことです。一見、とてもかわいそうなことをしているように思えますが、接種を別の日にずらしてもトータルの接種本数は変わりません。落ちついて考えれば、同時接種は特別かわいそうでもないことが分かりますね。
日本では、右腕・左腕の2カ所くらいまでにせいぜい3〜4本の同時接種が一般的です。しかし、海外では、必要なワクチンを必要なタイミングで接種できるよう、また病院に連れて行く親の負担を減らすよう、左右の腕と足に5~10本のワクチンを同時接種することも稀ではありません。

針を刺す回数を減らすには

そうです。子どもに何本もの注射針を刺さなくてもよいようにと開発されたのが、混合ワクチンです。
混合ワクチンとは、1つの病気に対するばらばらの複数のワクチン(単味ワクチン)を1つにミックスした“ワクチンのカクテル”。
日本では、麻疹と風疹のワクチンをミックスしたMRワクチンや、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオのワクチンをミックスした四種混合ワクチンなどが広く使用されています。

海外の多くの国では、日本の四種混合にさらにB型肝炎とヒブが入った六種混合ワクチンや、MRにおたふく風邪の入ったMMRワクチンが定期接種として一般的に使われています。
意外に思われるかもしれませんが、混合ワクチン開発の最大の難関は、安全性を担保することではなく、各ワクチンが干渉しあい、予防効果が薄れてしまうのを防ぐことでした。

現在承認・使用されている混合ワクチンはいずれもこの点をクリアしたもので、安全かつ十分な予防効果がありますが、混合ワクチンによる抗体のつき方は、単味ワクチンを別々に接種する時よりも、やや弱いと考えてよいでしょう。
新しいワクチンが次々と開発されるなか、接種すべきワクチンの数は増えています。しかし日本では、混合ワクチンの認可が遅いこともあり、もはや同時接種なしでは「接種もれ」を免れることが難しい過密接種スケジュールとなっています。
「念のため」と1本ずつ接種しているうちに、ワクチンで防げたはずの病気に罹ってしまうこともあります。

ここは迷わず、同時接種を選んでみてはいかがでしょうか。

 

村中 璃子さん
医師・ジャーナリスト。京都大学医学研究科非常勤講師。世界保健機構(WHO)を経て、メディアへの執筆を始める。2017年、ジョン・マドックス賞受賞。著書『10万個の子宮』(平凡社)。
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