筑波大学教授の徳田克己先生が、ママの子育てに関する悩みに答えてくれるコーナー。
「一人っ子はワガママになる」は つくられたイメージ
子どもが望むものをすぐに与えていると、ガマンする力が身につきません。子どもは、待つ経験、少ない量で満足する経験、あきらめる経験をすることでガマンできるようになっていくのです。
きょうだいがいれば、生活の中で順番を待つ場面が増えていきます。また、食べ物を分けて食べたり、おもちゃを分けて使ったりすることも多いです。一人っ子だと、そういう機会が少ないことは事実です。
ただ、今は子どものまわりに両家の祖父母、パパやママのきょうだいがいて、子どもたちにいろいろな物を買ってくれたり、やりたいことをやらせてくれたりします。きょうだいがいても、生活の中で待ったり、あきらめたりする経験がとても少なくなっているのです。そうなると、一人っ子でなくてもガマンする力は身につきません。「一人っ子はワガママになる」は、つくられたイメージなんです。
一人っ子であっても、待ったり、分けたり、あきらめたりする場面を生活の中でつくっていけば、ワガママになることはありません。
そのためには、パパとママだけでなく、まわりの大人がみんなで話し合っておく必要があります。パパやママがおもちゃを買うのを誕生日まで待たせているのに、おじいちゃんがすぐに買ってあげたのでは台無しになりますからね。
「一人っ子はガマンしない」と言われたりする、いわゆる“一人っ子ハラスメント”は一人っ子の親にも向けられ、子どもが一人しかいないことを悪いことのように言われることがあります。そんなプレッシャーに負けないでください。
一人っ子にはメリットがあります
ひとが最も嫌なことの一つに、比較されることがあります。心の問題を抱えている大学生の中には「子どもの頃からずっと、きょうだいと比較されてきて辛かった」と訴える人がいます。 「妹はもう逆上がりができるのに」「お兄ちゃんの方が算数できるね」などといつも比較されていると、自己肯定感が育ちにくく、自分を大切にする心が育ちません。
一人っ子は比較される対象が側にいないので、「比べられる辛さ」をあまり感じることがないのです。
実は私も一人っ子なので、のびのびとした子ども時代を過ごすことができました。