筑波大学教授の徳田克己先生が、ママの子育てに関する悩みに答えてくれるコーナー。
先生の話を冷静に聞くことから始めよう
突然「ちょっと気になることが…」と言われたら、親は驚いて「うちの子に文句をつけられた」などと感じてしまうかもしれませんね。そこで先生の話を冷静に聞かず、先生を攻撃したり、無視したりしても解決になりません。先生は教育のプロとして、子どもの発達や性格形成を常に気にかけながら子どもを見ています。お子さんのことをよく考えた末に、親に話していることを理解しましょう。
「家では先生が言うような言動はしない」と思われる親もいるでしょう。いつも同じ家族と過ごす家庭と、たくさんの子どもたちと行動する園では、環境が大きく異なります。園の集団活動では多くの人とコミュニケーションし、さまざまな刺激があります。安定した家庭にいる時と違い、子どもの苦手なところが出やすいのです。
きつく叱るのは逆効果適切な育児・保育で改善します
お友達を叩いてしまう子どもが2歳と4歳の場合では、先生の対応は異なります。2歳であれば、お友達に手を出してしまう子どもは多いので、先生は子どもを指導して直そうとします。
一方、4歳で手を出す子どもは、感情を抑えられない子どもか、衝動性の強い子どもです。園の指導だけでは直りにくく、家庭でも園と同じ方法で指導してもらう、また、生活に支障をきたす場合には薬を飲むことで改善すると、先生はわかっています。だから親に話すのです。
小学1年の段階で、10人にひとりの子どもに発達障害傾向があると言われています。発達障害傾向がある子どもは、きつく叱っても直らないどころか、叱り続けると逆効果です。親がきつく叱ると、親の前では静かにしても、園では“気になる行動”がより激しくなり、事態が悪化します。子どもの意欲も失われます。私はそのような子どもを、たくさん見てきました。
発達障害傾向のある子どもの状態は、3歳から小学3年くらいまでの適切な育児、教育・保育によって大きく改善することが、多くの研究や実践から確認されています。「ちょっと気になるところがある」と言われたら、ご両親にはぜひ、お子さんを伸ばす育て方を勉強してほしいのです。まずは、どういう時にどんな行動が出るのか、子どもはその時どんな様子か?子どもの状態を把握しましょう。詳しくは、私が監修するサイト「Kidshug(キッズハグ)」を参考にしてください。