つい、子どもに怒り過ぎて「また怒っちゃった」「あんな怒り方しなければよかったな…」と落ちこんでしまう時、ありますよね。怒りを上手にコントロールするにはどうすればいいのでしょうか?日本アンガーマネジメント協会理事の戸田久実さんにお話をうかがいました。
戸田 久実(とだ くみ)さん
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会理事。大学卒業後、民間企業にて営業、社長秘書として勤務。現在は研修講師として民間企業、官公庁において、新入社員から管理職までを対象に「アンガーマネジメント」「クレーム対応」「プレゼンテーション」「女性リーダー育成」などの研修や講演を行う。
アンガーマネジメントとは何でしょうか?
1970年代にアメリカで開発された、怒りの感情と上手につきあうための心理トレーニングです。軽犯罪やDV(ドメスティックバイオレンス)の矯正プログラムとして開発され、現在は全米の教育機関や企業でも導入されています。決して「怒らないようにしよう」「怒りを我慢しよう」というものではなく、私たちが目指しているのは怒りで後悔しないことです。
ママが怒りと上手につきあえるようになると、ママの気持ちがとても楽になるし、子どもやパートナーの反応も変化していきますよ。
いつも怒っているママにも、できるでしょうか…?
どんなママも、トライすればきっとできるようになります。まずは、そもそも怒りとはどういうものかを理解することから始めましょう。
多くの人が、怒るのはみっともない、大人気ないなど「怒るのは悪いこと」と思いこんでいて、怒りの感情ときちんと向き合わないままきています。怒りについて理解できていないから、対処の仕方がわからない、怒りに振り回されてしまうんですね。怒りについて理解できると、それだけでも怒りへの対処がしやすくなりますよ。
怒りとは、どういうものでしょうか?
怒りは、うれしい、悲しいなど他の感情と同じで、誰もが感じる自然な感情の一つです。怒りだけが特別に悪い感情なわけではありません。
怒りは、たとえば「遊び終わったおもちゃは片付けるべき」「夜は8時に寝るべき」など、自分の「こうあるべき」という理想や願望が思い通りにならなかったときに生まれます。
夫婦や親子など、どんなに親しい間柄であっても「こうあるべき」はそれぞれに異なるので、思い通りにならないことはたくさんあります。ママはとくに、わが子に対しては「ママの思う通りにして当たり前」と期待もあり、その期待が裏切られると強い怒りを感じてしまうのです。
親、きょうだい、パートナーに対しても同じことがいえます。長い時間一緒にいる身近な人には「言わなくてもわかって当たり前」と甘えや期待もあるし、心のどこかで、相手をコントロールできるような気がしてしまうんですね。実際、ママからの相談は、子どもを怒りすぎちゃう相談も多いですが、パートナーに対する怒りの相談もとても多いんですよ(笑)。
怒るのは悪いことではないのでしょうか?
もちろんです。むしろ、怒りを無理に押さえこもう、見て見ぬふりをしようとすると、いつまでも自分や相手を責め続けたり、後で怒りが爆発したり、心身を病んでしまったり――と、どこかでひずみが出てしまいます。
怒りは感じていいし、怒ってもいいんですよ。大切なのは自分の気持ちときちんと向きあうこと、そして、怒る必要のあるときに適切に怒り、怒らなくていいときには怒らなくてすむようになることです。
後編に続く
もっとアンガーマネジメントを知りたいママにおすすめ
『いつも怒っている人も うまく怒れない人も
図解アンガーマネジメント』
(著:戸田久実 監修:安藤俊介/発行:かんき出版)
誰でも無理なくアンガーマネジメントに取り組むために解説した本。ひと目でポイントがわかるように、図やイラストでわかりやすくまとめられています。「本を読むのが苦手」「時間がない」ママにもおすすめ!