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閉ざされた母子関係の弊害って?専門家へインタビュー【ママのこまった手帖】

ママひとりで、抱えこまないでほしいな。
ママの悩みや不安、心配ごとを取り上げていくコーナー。

今回は、「母子カプセル」「毒親」などとも取り沙汰される母子関係の問題について、家族社会学研究者の 渡辺秀樹さんにお話を伺います。

現代の育児環境の特徴とは?

近代以前の社会では家庭と外部の垣根がなく、ご近所さんや親戚など様々な人が家に出入りして育児にも関わっていました。

しかし、現代の社会においては家庭が孤立し、母親のみが育児に関わっている点が大きな特徴です。こうした環境では必然的に、母親が子どもを独占的にコントロールすることになり、子どもにとって母親は絶対的な存在となります。

閉ざされた母子関係は「母子カプセル」などとも言われ、子どもの弊害となる場合もあります。

 

閉ざされた母子関係の弊害とは? 改善するにはどうすればいい?

母親以外の人と接触する機会が少ないまま育つと、子どもは多様な価値観を比較検討して自ら選び取る「意思決定能力」が希薄になります。

また、母子関係が悪化したとき、子どもの逃げ場がありません。子どもには母親とは異なる価値観を示す存在や、母親の育児を補う存在が必要なのです。

ではどうすれば環境を改善できるかといえば、開かれた子育てをすることです。たとえば、お友達の家にお泊まりや遊びに行けば、子どもは色々なライフスタイルがあるんだなとわかるし、母親が親同士の付き合いや地域の知り合いを増やしていくことで、子どもの人間関係も豊かになります。

子どもが生きていく社会は、母子だけのシンプルな環境とは異なり、様々な立場や価値観の人たちが関わり合う複雑な環境です。

子どもが社会に適合し、自己実現していくには、できるだけ社会に近い環境で育てることが大切なのです。

お母さん方には心を外に開いて、のびやかに子育てをしてほしいなと思います。親子で視野が広がるし、お母さんもリフレッシュできて、子育てがもっと楽しくなりますよ。(おしまい)

 

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渡辺 秀樹さん
1978年東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。慶応義塾大学文学部教授等を経て、現在は帝京大学文学部社会学科教授。家族社会学を専門とし、研究テーマは家族の多様性。
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