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子どもが蚊に刺されたら【コドモカルテ】

刺されたらできるだけ早く 市販のかゆみ止めを

夏に「ぶ~ん」とやってくるものといえば、蚊。実は血を吸うのはメスだけ、と知っていましたか?日本の蚊で人を刺すのは、主にヒトスジシマカとアカイエカです。

血を吸われると、蚊の唾液成分に私たちの体が反応し、赤くなったりかゆくなったりします。さて、同じように蚊に刺されても、子どもと大人で症状が違う気がしませんか?蚊に刺された時の反応には、すぐに症状が出る「即時反応」と1~2日後に症状が出る「遅延反応」がありますが、乳児期には「遅延反応」しかありません。だから、蚊に刺されても、すぐにはかゆがったりしないのです。成長して幼児期から青年期になると、「即時反応」と「遅延反応」の両方があり、さらに青年期から壮年期になると「即時反応」のみになります。もちろん個人差はあります。

では、蚊に刺された場合はどうしたらいいでしょうか。かゆみや赤みは放っておいても数日から1週間で治まりますが、気になる場合は薬を塗りましょう。薬は、市販のかゆみ止めで大丈夫です。ここで大切なことは、「刺されてすぐ塗る」こと。かゆみは、蚊の唾液成分に体が反応し、マスト細胞や白血球がヒスタミンやセロトニンなどの物質を出すことで起こるため、これらの物質が出る前に塗る必要があるのです。ですから、かゆくなって時間が経ってから塗ってもあまり効果はありません。

かき壊しやとびひが心配なら、かゆみ止めパッチもいいでしょう。ただし、子どもが剥がして口に入れないよう気をつけてくださいね。

「かゆみの成分は熱に弱いので 50℃のお湯で温める」は本当?

さて、ネット上には「蚊に刺されたらこうするといい」という真偽不明の情報も飛び交っています。ひとつずつ見ていきましょう。

●かゆみの成分は熱で壊れるので、50℃のお湯やドライヤーで温める

完全に間違っています。かゆみを引き起こす物質である、ヒスタミンやセロトニンは50~100℃の熱では壊れません。むしろ低温火傷の危険があるので、やめましょう。

●セロハンテープを貼って毒素を空気に触れさせないようにする

効果がありません。そもそも蚊の唾液成分は、皮膚の中に入り込んでいるため、テープを貼らなくても空気に触れることはありません。 誤りです。

●塩を塗り込んで毒素を吸い出す

塩を塗り込んでも体内のものは吸い出せません。

●石けんで洗って、中和する

間違いです。体内のものを石けんで中和することはできません。

私が子どもの頃は「刺された部分に爪でバッテンをつける」なんてことも言われていましたね。こんな、たわいのないおまじないならいいのですが、健康を害するようなデマには注意しましょう。

蚊が媒介する日本脳炎は ワクチンで防ごう

蚊は、病気を媒介することもあります。日本でも、日本脳炎があったり、ジカ熱やデング熱が一時期話題になりました。

これらの病気にはワクチンがないものがほとんどですが、日本脳炎にはワクチンがあり、定期予防接種となっていますので、忘れずに受けましょう。現在、日本における日本脳炎ワクチンの1期の標準的接種時期は、「3歳から」となっていますが、希望すれば生後6カ月から接種可能です。保健所に問い合わせれば予診票をもらえて接種できます。ぜひ検討してみてくださいね。

森戸 やすみさん
小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児集中治療室)などを経て、どうかん山こどもクリニックを開業。著書は「小児科医ママが今伝えたいこと!子育てはだいたいで大丈夫」等多数。
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