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日本語は時代とともに変わります 新語も漫画も積極的に取り入れて【きかせて、子そだて】

子どもたちは、「◯◯ってどういう意味?」と頻繁に質問したり、友達やユーチューブから新しい流行語を仕入れてきたりします。そんな子どもたちに、親として日本語を教えていくには?国語辞典を編纂している飯間浩明さんにお話を伺いました。

子どもが話す、新語や流行語。 正しい言葉を教えるには?

最近は「ふんいき(雰囲気)」という言葉を、「ふいんき」と言う人が多くなりました。でも、必ずしも「間違っている!」とは言えません。「新しい」という言葉は、奈良時代には「あらたし」でした。それが、平安時代には「ら」と「た」が入れ替わって「あたらし」になったのです。今の「ふいんき」の状況と似ていますね。

日本語は時代とともに変わります。子どもたちは友達やユーチューブなどから耳慣れない言葉を仕入れてきます。でも、国語の勉強や作文ではともかく、日常の話し言葉で使うぶんには、心配は要りません。「新しい言葉を覚えたね」と積極的に評価して、喜んであげてください。そうすれば、話し言葉や、場合に応じて言葉を使い分ける意識が育っていきます。

「◯って何?」と聞く子。 辞書は何歳から親しむといい?

国語辞典に触れるのは、早いに越したことはありません。まだ字が読めない子ども向けにも、さまざまな出版社から「絵じてん」が出ています。絵を見ながら楽しく読んでいるうちに、言葉が身に付いていきますよ。

また、“辞書ゲーム”で一緒に遊ぶのもいいですね。たとえば、『ズッキーニ』というゲームは、辞書を用意して、ある項目の説明だけを読み、何の言葉かを当てます。「かぼちゃの一種。キュウリに似て、西洋料理に用いる…」さて、何でしょう?答えは「ズッキーニ」。親子のコミュニケーションにも役立ちますよ。

紙の辞書にこだわる必要もありません。今は、スマートフォン用の辞書アプリも多く出ています。紙の辞書よりも安価で、持ち運びも便利。私もたくさんの辞書アプリを使っています。紙でもアプリでも、辞書は、信頼性の高い資料をもとに執筆者を明らかにし、責任を持ってつくっています。ネット検索もいいけれど、信頼できる辞書を備えて、いつも使うようにするといいでしょう。

日本語を楽しむ子にするには?

残念なことですが、小学生にも「国語が嫌い」という子が多いのです。日本語の楽しさを子どもに伝えるには、「言葉のシャワー」を浴びせることです。そこで、まずは親が子どもに手紙を書いてみましょう。誕生日には「おめでとう」、ケンカしてしまったら「昨日は言い過ぎてごめんね」と手紙を書く。お手本になる日本語にたくさん触れさせてあげるのです。

本を読むのが嫌いな子なら、漫画でもいいのです。漫画1冊にも、難しい熟語などが、小説1冊の十分の一程度は出てきます。つまり、漫画を10冊読めば、小説を1冊読んだのと同じくらいの語彙が身に付く、ということ。ですから、漫画も制限せず、好きなだけ読ませてください。語彙力やストーリーの型を読み取る力が身に付けば、小学校高学年や中学生になる頃には、自然と活字の本も読めるようになります。漫画は、今や教養のうち。私もなるべく読むようにしているんですよ。

  

日本語をつかまえろ!

「日本で一番古い擬音語って?」「どうして『し』のつく言葉は多いの?」「どんぶらこはモモ専用なの?」など、
楽しくて発見のある日本語のお話がいっぱい。日本語の面白さに気づけます。
著者:【文】飯間 浩明 【絵】金井 真紀
出版社:毎日新聞出版

飯間 浩明さん
国語辞典編纂者。『三省堂国語辞典』編集委員。国語辞典の原稿を書くために、新聞や雑誌、放送、インターネット、さらには街の中にも繰り出して、気になる日本語を採集する毎日を送っている。著書に『ことばハンター』(ポプラ社)『日本語をつかまえろ!』(毎日新聞出版)などがある。 Twitter:@IIMA_Hiroaki
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