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子どもの可能性 後編【子どもと向きあう】

新入園・進級シーズン。わが子が成長する姿に、あらためて「子どもの可能性を伸ばしてあげたい」と思うママも多いのでは? そこで今回は、未来のユニークな人材の育成に取り組む「異才発掘プロジェクト ROCKET」のプロジェクトマネージャー、沢渡一登さんに、子どもの可能性についてお話を伺いました。その後編をお届けします。(前編はこちら

 

沢渡 一登(さわたり かずと)さん

日本財団 ソーシャルイノベーション本部 国内事業開発チーム リーダー。日本財団に入会後、福祉関係の助成金の審査を担当。東日本大震災の際は発生直後から現地に入り、1,000人以上の学生ボランティアをコーディネート。2014年に東京大学先端科学技術研究センターと共同で「異才発掘プロジェクトROCKET」を立ち上げる。

ROCKETのメンバーはどんな子どもたちですか?

どの子も、相当にユニークですよ。おじいちゃんと山で狩りをして暮らす子や、天才的な数学の才能がある子、ボーリングのピンセッターに並々ならぬ興味を持ち、その再現に没頭する子とか(笑)。

凸凹がとても大きい子どもたちですから、突出した能力を持つ一方で、集団行動になじみにくい、じっとしていられないなど、苦手もたくさんあります。パソコンを使えば素晴らしい文章を書くことができるけれど、読み書きに困難を持つケースも少なくないです。

私たちは子どもたちの苦手を直すことはしません。この子たちに「書けるまで練習しなさい」などと強要すると、どんなに努力をしても上手に書けないことで意欲を失い、不登校や引きこもりになるリスクがあります。それよりも、子どもの「好き」「やってみたい」気持ちを大切にしたい。読み書きの苦手は、スマートフォンの音声読み上げ機能を使うなど、テクノロジーで補えばいいと考えています。

 

子どもの可能性を伸ばすために、大切なこととは?

可能性を「つぶさないこと」だと思います。親や周囲が子どもを「こうあるべき」と枠にはめようとして、つぶされてしまう子どもがたくさんいます。そうなってからでは、取り返しがつきません。何が本当に子どもの幸せかといったら、親の思う通りになることではなく、子どもが自分らしく生きられることではないでしょうか。

私どものプログラムの一つに、第一線で活躍するトップランナーの講義があります。お招きするのは、ロボットクリエイターやスカイツリー建設に携わったとび職人など、自分の好きなことを極めて仕事にしている方たち。私たちはこの講義を通して、自分が一番輝くことのできる場所を見つけて生きているトップランナーの生き様を、子どもたちに見せたいと思っています。

子どもたちも悩んでいるんですよ。他の人と同じ道を歩まなくていいのか、本当に好きなことをやって生きていけるのか。そんな子どもたちに、人と違っていい、好きなことをとことんやって、自分らしく生きる道もあるんだよと、伝えられたらと思っています。

芸術や建築、科学技術、経済など各界のトップランナーによる講義。自分の道をひた走るトップランナーのメッセージが、子どもたちの心に響きます。

親にできることは、何でしょうか?

子どもの可能性を引き出そうとか、道をつくってあげようとか、親が先回りして何かしてあげる必要はないと思うんです。どんな子にも可能性はあって、可能性を伸ばすのは何よりも、子どもの「好き」という気持ち。子どもが好きなことを見つけたときに、背中を押してあげるのが親の役割なんだと思います。

好きなことはそう簡単には見つからないかもしれないけれど、焦らなくて大丈夫。親も子どもと一緒に、無駄も回り道も楽しんじゃいましょう。その中できっと、たくさんの発見や、未来につながることに出会えますから。

ママたちにエールをお願いします

プロジェクトには型も決まりもないので、私たちも、子どもと向き合うなかで悩むことはしょっちゅうですよ (笑)。それでも、子どもたちと過ごすのは楽しくてしょうがないんです。

お母さん方も、あまり気負わず焦らず、子どもと一緒にいろんなことを楽しみながら、歩んでいってもらえたらと思います。

異才発掘プロジェクトROCKET
ROCKETは“Room Of Children with Kokorozashi and Extraordinary Talents”の頭文字をとったもので、日本財団と東京大学先端科学技術研究センターによる共同事業です。小学3年生~中学3年生の子どもたちを対象に、多様な人材の育成に挑戦する場として活動。毎年、全国から500名以上の応募があり、現在約60名の子どもが参加しています。 *「2017年度 全国説明会」のお知らせは、ホームページで順次公開中
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