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子どものウソ、どうしたらいい?【子どものココロ】

筑波大学教授の徳田克己先生が、ママの子育てに関する悩みに答えてくれるコーナー。
今回のママの悩みは、「子どものウソ、どうしたらいい?」です。

 

4歳の息子が最近よくウソをつきます。妹のおもちゃを取り上げて泣かせたときも、「意地悪しなかった?」と尋ねると「何もしていない」と言い張ります。将来、ウソつきな人間になるのではと心配で…。
「ウソつきは泥棒のはじまり」ということわざがあり、子どもがウソをつくと、親は心配になり強く叱ります。しかし、大人のウソと子どものウソは違います。大人のウソは、詐欺やお世辞など意識的につくものが大半ですが、子どものウソは、無意識なものも含めて色々な種類があり、それぞれ対応の仕方が異なります。

 

子どものウソは3タイプある

❶メルヘンの世界のウソ   →さらりと受け答える

「昨日の夜、赤いドレスを着てお城でダンスをしたんだよ」といった子どもの話に、「ウソを言うんじゃない」と叱っても、子どもはピンときません。

子どもは想像の世界に自分を登場させて、楽しんでいるのです。ここで叱ってしまうと、空想することを叱ることになり、子どもの想像力は伸びていきません。自分が想像したことを言葉で表現できるのは成長のあかしなので、むしろ喜びましょう。

ただし「どんなお城だったの?」などと詳しく尋ねるのはNGです。「ふ~ん、そうだったの」と軽くスルーしましょう。成長するにつれ、この種のウソは減っていきます。

 

❷人の気を引くためのウソ   →反応しない、取り合わない

みんなが驚くような話をすると注目される、と学習している子どもがいます。大人の中にもいます。

ウソはヒーローやヒロインになる手っ取り早い方法です。もっと注目してもらえるように、さらに大きなウソをつくことになります。

子どもが人の気を引くためにウソをついているなと感じたら、叱ったり、問いつめたりするのではなく、「ふ~ん」と言って取り合わないようにしてください。

ウソをついても、ヒーローやヒロインにはなれないことを学ばせるのです。誰も反応しなければ、ウソをついても無駄なので、子どもはその種のウソをつかなくなります。

ウソをつかなくても、パパとママは自分をちゃんと見てくれていることを実感すれば、ウソをつく必要もなくなります。

 

❸自分を守るためのウソ   →叱り方を見直す

子どもは、いろいろな失敗やいたずらをするものです。失敗は成長の糧、いたずらは科学的思考の素なので悪いことではありません。

しかし、多くの親が失敗やいたずらを叱ってしまうので、子どもは叱られないように言い訳をします。言い訳もウソのひとつです。

自分を守りたい気持ちはみんな持っていますが、自分を守るためにウソをつく子どもは、親にきつく叱られているケースがほとんどです。その種のウソは癖になり、修正するのはとても難しいです。

この癖をつけないようにするには、失敗やいたずらを強く叱るのを控えるしか方法はありません。

 

筑波大学 医学医療系教授 教育学博士 臨床心理士 徳田 克己先生
子どもたちが笑顔で生き生きと過ごせることをめざし、研究・実践に取り組む。幼稚園や保育所、子育て支援施設を回り、発達相談に応じている。 最近はディズニー映像の教育的効果や「クレヨンしんちゃん」の分析などの実践研究を手がけている。保護者を対象にした講演会や「お父さん講座」なども好評。
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