筑波大学教授の徳田克己先生が、ママの子育てに関する悩みに答えてくれるコーナー。
今回のママの悩みは、「YouTubeやテレビの活用法」です。
ダラダラ見は スナック菓子の食べ過ぎと同じ
子どもを静かにさせるために、子どもにお菓子を与える、映像を見せる、ゲームをさせることはよくあると思いますが、好きなだけスナック菓子を与える家庭は少ないでしょう。
親は、お菓子の食べ過ぎが子どもの健康に良くないことを知っているからです。ところが、映像の見過ぎも子どもの発達に良くないことは、あまり知られていないようです。
映像の見過ぎは子どもの思考を「受け身」にさせ、考える力が伸びなくなります。また、見過ぎにより、親子のコミュニケーションが不足することも問題です。
今、私の研究室では「電車の中の親子の過ごし方」を観察研究しています。3歳から7歳ぐらいの子どもの半数以上が、親もしくは子どもがスマホを見ていることがわかり、そのような親子はまったく会話がないか、断片的なやり取りがあるだけでした。
絵本、クイズ、なぞなぞ、しりとり、折り紙といった遊びをしていた親子は、わずか2割です。電車は親子の貴重な時間となるはずですが、子どもにスマホを渡すと、親子の会話はなくなってしまいます。
親子の会話が少ない家庭の子どもは、言葉の発達に問題が出ることもあり、とても心配です。
どんな見方をすれば効果的?
一つは、見る時間を制限することです。1日2時間程度であれば、子どもは映像から多くを学ぶことができます。それ以上は、映像が目の前を流れていくだけとなり、効果は失われます。
もう一つは、内容を選ぶことです。特にストーリー性のある映像は、映像読解力を身につけさせるのに有効です。
子どもは映像を見ながら「どうしてミッキーは怒っているのかな」などと、ストーリーや登場人物の気持ちを理解し、次の展開を予想します。映像では説明されない部分も、想像力で補えるようになります。新しい言葉も覚えます。
核家族の子どもは、ちびまる子ちゃんを見て祖父母との生活を間接的に体験し、社会性を養うこともできます。
最後に、もっとも有効な映像の活用法をご紹介しましょう。
テレビやYouTubeの内容について、親子でお話をするのです。映像の理解も深まるし、子どもは、パパやママがその映像を見てどう考えたのかを感じ取ることができます。
映像を通して伝えられたパパやママの価値観は、子どもの心に深く残るでしょう。