茨城、千葉、エジプト、そして大分へ。
日本はもちろん、海外まで生活圏を広げながら
家族と一緒に新しい経験を重ねる祥子ママ。
その頼もしさが世界の扉を開いています。
やりがいと、芯を持って働く姿
背景にそびえる三角形の建造物は、まさしくピラミッド。ちょこんと置かれた写真立てのなかで笑うのは、悠々とラクダに乗ったパパと眩しそうに目を細める抱っこひも姿の祥子ママです。「どこに行くにも抱っこひも(笑)。まわりからは、いつ見てもその格好をしてるよねって言われてたんです」と楽しそうにお話するのは、7歳になる瑞樹(みずき)くんと3歳の環(たまき)くんの祥子ママ。今年4月にパパの転勤先であるエジプトから家族4人で日本に戻り、現在は竹田市にお住まいです。
ご出身は神戸。大学卒業後は金融機関に勤務され、結婚。「パパはいわゆる“転勤族”。茨城の転勤が決まったとき、上の子を妊娠しても働き続けていたので自分の仕事をどうするか、すごく悩んだんです。でもやっぱり、家族は一緒にいるほうがいい。退職することを選んで、パパについていくことを決めました」。
それから2ヶ月ほど茨城で暮らし、里帰り出産することに。その間にまたもやパパの転勤が決まり、今度は千葉へ。初めての子育ては縁もゆかりもない地からはじまりました。「最初は戸惑うことばかりだったけど、そのうちママ友ができたり、少しずつ生活にも馴染んで…。でもなんとなく、私のなかでくすぶっていたのは仕事への思い。同期で入社した女の子たちは結婚しても働いていて、いまも輝いて見える。自分だけが取り残されたような気持ちになって、モヤモヤしていたんですね。そんなとき浮かんだのが、母の姿。もともと母は仕事を持ち、働き続けた女性で、当時としては「お母さんが家にいない」ことが珍しく思われていたんです。でも家のことはきちんとしていたし、なにより自分のなかに強く芯を持って働く姿は誰よりもかっこいい!それは小さいころからの憧れでもあり、今なお私が目指す理想像。もちろん家族のことが一番大事だけど、私もやりがいを見つけて自分の人生をしっかり歩いていきたいと思ったんです」。
そして瑞樹くんが生後6ヶ月になったころ就職活動を再開し、東京大学の事務職員として職を得ることに。新しく踏み出した世界で、子育てと仕事を両立させる4年間を過ごされました。
子どもより、もっとたくましく
祥子ママファミリーのさらなる新天地はエジプトへ。当時の瑞樹くんは5歳、環くんは0歳でした。「現地では英語の語学教室に通ったり、0歳児の子どもを抱えてたくさん旅行にも出かけました(笑)」と祥子ママ。また瑞樹くんはインターナショナルスクールに入学。「あらためて感じたのは、肌も髪の色も違う多国籍な子どもたちが集まるなか、一人ひとりが違うことは当たり前だし、それぞれが個性。日本では「みんなと同じ」ことで安心するけど、瑞樹も環もありのままに育てればいいんだと思うようになりました」。また現地では同じように駐在するご家族も多く、家族ぐるみでの交流が盛んだったのだそう。
「ずっと海外を渡り歩いて、いろんな経験をした“転勤族”が集まっているから、みんなタフ。転勤族は「親がよくても子どもはかわいそう」って言われるけど、それは子どもに「かわいそう」を押し付けているだけ。親が子どもよりもっとたくましくなって、そこでしっかり生きていく。どっしり構えていれば、子どもは自然と受け入れられるようになるよ、とアドバイスされたとき、ようやく私のなかで胸にストンと落ちるものがあったんです」。エジプトで過ごした2年半の日々は、祥子ママにとっても、大きな財産を残されたようでした。
そして現在は金融窓口に就職。フルタイム勤務を選び、転勤で働く環境が変わってもキャリアを重ね続けています。「以前は同じ金融でもスーツを着て外に出る営業だったので、いまは制服を着て窓口に座る毎日が新鮮。仕事もまだ慣れないことが多いけど、子どもたちが「ママ、制服かわいいね」って言ってくれるので、よし!がんばろう!と励まされています(笑)。環境にも大きな変化があって少し心配もしたけど、子どものほうがすっかり馴染んで小学校も保育園も楽しそう。そんな姿に、私も大分の生活を満喫しよう!と思っているんです」と笑う祥子ママ。
お子さんの成長と新しい出会いにも、ますます期待を膨らませています。