子どもの歯が抜けたのに大人の歯がなかなか生えてこないみたい…これってどういうこと?意外な理由は歯の成長に関わる大事なお話。
7歳の女の子
7歳の女の子、上顎の横の乳前歯2本が、脱落してから半年たっても永久歯が生えてこないと来院されました。お母さんのお話では、痛みなどの症状はないと言うことです。そして歯医者さんは初めて。写真1のように一見したところ上の前歯の歯並びは多少曲がっていますが、それほど異常ではありません。しかし問題が一つ見つかりました。噛み合わせです。下顎の歯並びが前歯一本分左にずれた噛み合わせなのです。なぜ?本人と母親に再度確認してみると痛みはないが、強く噛むとき右側がなんか噛みづらく、硬いものを噛むときに痛みが出るとのことでした。
そこでレントゲンを撮影すると、むし歯が左右上下の奥歯に9本見つかりました。痛みが強くないのはむし歯が進行していて、神経がほとんど死んでいたために明確な症状がなかったのです。ここが大事。お子さんは強い痛みなどの急性の症状がないと、この状態が「異常なのか正常なのか判断できる経験がないこと」と「細かな説明できるほど言葉の数が多くない」ため、「なんか変だなあ」に終わってしまう傾向があります。そこに、保護者の普段からの観察とかかりつけ歯科医師の定期健診の意味があるのです。再度の問診とその日におこなった一回目の治療後の噛み合わせが写真2です。噛み合わせが正しい状態に回復しています。
この症例は、お子さんのむし歯による誤ったかみ合わせが永久歯の噛み合わせに影響を与える可能性を示す典型例です。子どものむし歯は、放置していると噛み合わせにも影響をあたえる可能性があるとの証拠です。
平成27年度大分県の3歳児でむし歯のあるお子さんのむし歯保有数は約4本。たくさんあっても自慢にはなりません。お子さんのむし歯は、まず予防。そして早期発見、再度観察、早期治療が原則です。最近、大分県と歯科医師会が共同で幼稚園、保育園や小学校でフッ素洗口が実施されるようになりました。フッ素は低濃度で繰り返し塗布することが有効です。フッ素洗口、フッ素塗布、フッ素入り歯磨き剤の採用で虫歯予防を更に推進してみてください。しかし、「フッ素の最大の副作用は過信である」と言われています。
そこで、
①家庭での保護者による仕上げ磨きと糸ヨウジの採用。
②かかりつけ歯科医での定期検診と、毎回少しずつ歯科器具になれるようにトレーニングを受ける。
この2点もお忘れなく!