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子どもが自分で発見したものが本当のスキルになる【子どもと向きあう】

2020年、小学校で必修となる「プログラミング教育」って? わが子のために自ら立ち上げたフリースクールで、 プログラミングをはじめ先進的な教育を実践する サイエンスライターの竹内薫さんに伺います。

竹内 薫 さん
人気サイエンスライターとして科学評論、エッセイなどを手がける他、テレビやラジオでも活躍。2016年、「娘を通わせたい学校がない」との思いからフリースクール「YESインターナショナルスクール」を設立。日本語・英語・プログラミングを柱とした「トライリンガル教育」を実践する。小学2年生の女の子のパパ。

そもそもプログラミングって何でしょうか?

ざっくり言うと、「プログラムをつくること」です。プログラムとはコンピュータに命令する指示書のようなもので、すべてのコンピュータにプログラムが入っています。インターネットやスマートフォン、銀行のATM、道路の信号…みなさんが普段、当たり前に使っているものも、プログラムによって動いているんですよ。

プログラミングは私たちの暮らしを支える重要なもので、「AI(人工知能)」や、モノとインターネットがつながる「IoT」などの最先端技術にも深くかかわっています。だから、先進国ではプログラミングができる人材の育成に力を入れているのです。

これからは、仕事でも、生活するうえでもプログラミングの知識が欠かせなくなります。私たちが今、仕事でワードやエクセルを使うように、当たり前のスキルになっていくでしょう。

家庭でも取り組めることはありますか?

インターネット上の子ども向け無料ソフトを活用すれば、お金をかけずに家庭でも学ぶことができます。年長さんくらいになれば、ゲームのようにプログラミングを楽しめますし、プログラミングが初めての親御さんでも、ちょっといじってみれば、1日で慣れますよ。親子でぜひ、遊び感覚でチャレンジしてみてください。

ただし、「勉強しなさい」は禁物です。子どもは確実にやる気を失います(笑)。プログラミングでも何でも、楽しんでやるのが一番。子どもの「何これすごい!」「面白い!」という好奇心を刺激して、やる気を引き出すのが、力を伸ばす秘訣です。

AI時代を生きる子どもたちに必要な力とは何でしょうか?

正解がない中でも、自分で考えて乗り越えていく、課題解決力だと思います。それさえあれば、どんな状況、時代でも生き抜いていけるでしょう。

気をつけてほしいのは、暗記型や答え合わせの勉強ばかりでは、子どもの考える力や創造力をつんでしまうどころか、プログラミングや算数といったスキルも身につかないということです。

たとえば、二次方程式。「習ったけど忘れちゃった…」という親御さんが忘れてしまった理由は、公式を丸暗記して、自分で考えて理解しなかったから。だから、今、二次方程式を「使えない」のです。

私たちのスクールでは、最初から答えを教えたり、公式を覚えさせることはしません。円の面積を出すなら「昔の人たちはどう考えたのかな?」というところから、子どもたち自身で考えていきます。

子どもたちは、試行錯誤するうちに「そうか、こうすれば円の面積に近づいていけるんだ!」と自ら発見し、公式にたどり着いたときには、その成り立ちや意味までしっかりと理解できています。

しかも、発見が楽しくて「円周率が無限に続くのはなぜ?」「数字には他にどんな世界があるの?」と自ら探求するようになり、どんどん先へ進んでいけるのです。

時間がかかっても、自分で考えて理解したものは確実に自分のものとなり、生きるためのツールとして使いこなせるようになります。それこそが本当のスキルです。

親の役割は、子どもに生きる力をつけること。変化の大きい時代だからこそ、周りに合わせるのではなく「この子の未来に本当に必要なことは何か?」を親が自分自身で考え、見極めていきましょう。

読者にメッセージをお願いします

これからは親も子どもも、「課題解決型」の人生にチェンジしましょう!課題は何でも、親が英語や数学に再挑戦するのもいいし、私は今、趣味のカポエイラで新しい技を練習中です(笑)。

一つひとつ、コツコツと解決していけば、きっと乗り越えられます。すると、目の前に見たことのない新しい世界が開けて「うわぁ!」となる。その感動とワクワクを、親子でたくさん、体験していってほしいと思います。

知識ゼロのパパ・ママでも大丈夫! 「プログラミングができる子」の育て方 著:竹内薫/発行:日本実業出版社
プログラミング教育についてのさまざまな疑問に、自身のプログラミング教育の経験と知見をもとに、竹内薫さんがわかりやすく丁寧に解説。知識ゼロのパパ・ママでも、プログラミングの基本から、「なぜプログラミング教育が必要なの?」「学ぶとどうなる?」「どう学んだらいい?」がスッキリわかります。
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