筑波大学教授の徳田克己先生が、ママの子育てに関する悩みに答えてくれるコーナー。
最も効果のない叱り方は?
子どもに「自分が何で怒られているかわかってるの?」「じゃあ、言ってみなさい」などと、問い詰めていませんか?
子どもの中には、親から「わかったの?」と訊かれると、わかっていなくても「わかった」と即答する子がいます。ぐずぐずしたり、正直に「わからない」と答えたりすると、「まだわかってないのね!」「どうして叱られた理由を言えないの!」とさらに叱られるからです。
子どもは、とにかく「わかった」と言うことで、その場から逃れたい気持ちでいっぱいなのです。
何をしたら叱られる? 日頃から伝えておこう
そもそも、子どもは叱られている原因がわからないと、反省のしようがありません。何をしたらいけないのかを、日頃から、子どもがわかるように示しておくことが大事です。
たとえば、アニメ「クレヨンしんちゃん」の家庭では、母親のみさえが「ママとのお約束条項」をつくり、しんちゃんに示しています。しんちゃんは、何をしたら叱られるかを知っているのです。
みなさんの家庭でも、「いえにかえったら、うがい・てあらいをする」など、その時々の課題について具体的な決まりごとを書き、部屋に貼っておきましょう。時々、親が「わが家のルール」と言って、読んであげてください。子どもが守ったら、うんとほめましょう。
叱る時間は5分まで それ以上は効果がなくなります
親に5分間叱られた子どもに、「どうして叱られているの?」と尋ねると、ほとんどの子がその理由を答えることができます。一方、30分間叱られている子どもに同じことを尋ねても、多くの子が答えることができません。
子どもがママやパパが怒るのを聞いていられる時間は、せいぜい5分程度。それ以上になると苦痛に耐えられなくなり、頭の中は「終わったら何をして遊ぼう」などと考えているはずです。
ただ、子どもを叱ることでストレスを解消しているママは、その点から反省して直さないと、子どもの心は歪んでしまいます。また、「子どもを愛する気持ちがあれば、きつく叱っても、子どもはわかるはず」も間違いです。間違った叱り方をすると、子どもの自尊心が育たなくなります。
親も正しい叱り方を学び、実践してくださいね。