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愛情のこもった スキンシップで 親も子どももハッピーに【子どもと向きあう】

抱っこする、なでる、手をつなぐ――。 親子の触れ合いが子どもに与える影響とは?
スキンシップケアの研究を行う山口創さんに伺います。

 

山口 創 さん

山口 創 さん

静岡県生まれ。早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。桜美林大学教授。専攻は健康心理学・身体心理学。臨床発達心理士。中学3年生、小学3年生の女の子のパパ。

 

親子のスキンシップが大切とよく聞きます。なぜでしょうか?

親子の触れ合い=タッチが子どもに良い影響を与えることは、科学的にも立証されているんですよ。

親が子どもに触れると、子どもの脳内にオキシトシンというホルモンが分泌されます。オキシトシンは「絆ホルモン」ともよばれ、親子の愛情を深める、安心感を高めるなど、さまざまな良い作用があります。

さらに、幼少期にオキシトシンをたくさんつくっておくと、将来にわたってオキシトシンが出やすくなり、他人と安定した愛情・信頼関係を築きやすくなる、ストレスに強くなる、記憶力が高くなるなど、良い影響がずっと続きます。この時期に親子が触れ合うことは、とても大切なんですよ。

 

どのように触れたら いいのでしょうか?

乳幼児期は、他の感覚よりも触覚が発達しています。親がぎゅっと抱きしめてあげると一番安心して、親の愛情もよく伝わりますよ。

触れる時は、愛情をこめて優しく触れてあげましょう。子どもの安心感が増し、オキシトシンがたくさん分泌されます。

忙しくて子どもと触れ合う時間がとりにくい場合は、一日一回、しっかりとハグしてあげてください。大切なのは、タッチの回数よりも、愛情をこめることです。

一方、疲れている、イライラした時に触れると、ネガティブな感情が子どもに伝わり、お互いにストレスが高まります。そんな時は無理をせず、他の人に代わりに子どもを見てもらうなどしましょう。

子どもの個性に合わせた触れ方も大切です。たとえば、わが家の二女は密着型のスキンシップを好み、ぴったりくっつくと安心しますが、長女は手をつなぐ、遊ぶ時に触れるなど、軽いスキンシップを好みます。どんな触れ方がうれしいのか、子どもの表情や反応を見ながら、触れてくださいね。

また、「うちの子は親にべったりで、親離れできるのか心配」という場合も、子どもが求めてきたら受けいれて、子どもの気持ちを満たしてあげるようにしましょう。

子どもが不安を感じたときに満たしてあげないと、子どもは安心感を得られず、自立が遅れてしまいます。とくに、男の子はオキシトシンが出にくいという研究結果もあるので、しっかりと触れ合うといいでしょう。幼少期に、親子が十分な愛着関係を築いたほうが、子どもの自立は早くなりますよ。

 

山口さんは、お子さんと どのように触れ合ってきたのでしょうか?

子どもが生まれた時から、オムツ替えのときに足を軽くマッサージする、手をつなぐ、熱を出した時は背中をなでてあげるなど、子どもに触れるよう心がけてきました。親子仲良しで、「ずっとこのままいけるかな」と期待しましたが、長女は今、反抗期の真っただ中です(笑)。

ほとんど口をきいてくれなくなったのですが、「指圧を習ってきたから、練習台になってよ」とマッサージをしてあげたら、とても気持ち良さそうにして「今日、部活がすごくハードだったんだ」などと、少しずつ話をしてくれるようになりました。タッチには、硬直した親子関係をとかす力もあるんですね。

特別なことでなく、手をつなぐ、くすぐり遊びをする、ハグするなど、ちょっとしたことでいいんですよ。愛情をこめて子どもに触れると、親にもオキシトシンがつくられて心が癒されます。日々の触れ合いを大切にして、親子でハッピーになってほしいなと思います。

 

読者にメッセージを お願いします

毎日子どもと触れ合う中で、お互いに癒されたり、気持ちを分かち合えたり、気づかされたり、いろんなプロセスを体験できるのが子育ての醍醐味です。

苦しいこともあるけれど、結果や効率ばかりを求めるのではなく、その時、その時で子どもとしっかり向きあうことを、大切にしてほしいなと思います。

ストレスフリーで子どもがグングン伸びる! マインドフルネス子育て法 著:山口創 /発行:清流出版
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