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「蜂が怖いからトマトは無理」妊娠中に未経験から農業法人経営を決断した20代ママ【ママの履歴書】前編

子育てしながら働くのって、シンドイ、大変そう…。この先には何があるの…?
そんなママへ、少しだけ先を歩く、隣りの働きママからのメッセージ「ママの履歴書」。

今回は、「未経験の農業で起業」という道を選んだ亜美ママの履歴書の前編をお届けします。


亜美ママ

亜美ママ
Ami Mama

3歳の女の子のママ。大阪府出身。出身大学、勤務していた化粧品会社の所在地が大分県。大分県でリーフレタスを栽培する農業生産法人「ウーマンメイク株式会社」の社長を務める。シングルマザー。

1人で子どもを育てていくため、子育てしながらずっと続けられる仕事をしよう

妊娠がわかったのは、転職してから1年ほど経った頃でした。

新卒で入社した電子機器メーカーは大手企業。今ひとつ仕事に面白みを感じることができず、大学で専攻した英語と韓国語を生かそうと、入社1年で海外展開を考えている化粧品会社へ転職していました。

転職先は女性が多い企業ではあったけれど、産休や育休が取りやすい環境ではなかったため、「産むなら退職しよう」と決断しました。

そして、決断したことがもう一つ。当時も今も、私は結婚していません。妊娠がわかった時は戸惑ったけれど、「子どもは欲しい時に産めるとは限らない、せっかく授かったのだから1人で産んで育てよう」と決めました。

次にどんな仕事に就くかは未定でしたが、考えたのは「次は子育てしながらずっと働き続けられる仕事をしよう」ということ。1人で子どもを育てていくのだから、なるべく今後は転職することなく、子育てがストレスにならない仕事が希望でした。

「まずは無事に出産、そして産んだらすぐに働こう」と決め、妊娠5ヵ月のときに会社を辞めました。

「道の駅」構想から、経験のない農業経営へ!

妊娠中から、どんな仕事をしようかと友人たちと会ううちに、「道の駅をつくろう」というプロジェクトに関わることになりました。

ところが、いざ道の駅運営について調べていくと、「1年を通して売る野菜がない」という課題が見えてきました。誰かにつくってもらうのもいいけれど、どうせなら自分で野菜をつくるのはどうだろうか。そんな発想が、全く経験のない「農業経営」に踏み出すきっかけでした。

当時は「女性の農業」も脚光を浴びていた頃。最初は「畑を借りて、道の駅で売るための野菜を何種類かつくろうか」という案だったところが、「どうせやるなら、収益の上がる、大規模な農業を」という話になり、妊娠中にさまざまな農家を視察に行きました。

蜂を使った受粉や重い作物は無理。だからこそ選んだリーフレタス

トマトはどうだろうか、と視察に行って「受粉のために蜂を飛ばす」と聞き、「蜂を扱うのは不安、トマトは無理だな…」と諦めたこともあります。

一度農業経営を始めると、何十年も続けていくことになります。しかも、私が目指すのは「女性だけで子育てしながら続ける農業」。腰をかがめる姿勢を取り続けたり、重い収穫物を運ぶことで体を痛めてしまっては、長期間続けることはできません。栽培する作物は慎重に選びました。

そこで、白羽の矢を立てたのが、リーフレタス。宮崎まで視察に行ったのですが、夏なのに大きなビニールハウスの中は冷房で涼しく保たれていました。また、水耕栽培のため、手が土で汚れることもありません。

1つ1つの束も軽く、箱詰めしても2~3キログラムで、女性でも難なく持ち上げることができます。トマトのように「糖度が低く出荷できない」などのリスクがないこと、ゆくゆくはサラダやドレッシング開発など商品の可能性が広がりそうな点にも魅力を感じ、「リーフレタスでいこう!」と決めました。

どんな農業をしようかと、さまざまな場所へ視察に。「リーフレタスは箱詰めしても1箱2~3kg、女性でも軽々と持てる」ことも、選んだ一因。

 

後編は、5月11日(金)更新予定です。

「ベビーカーを押して補助金申請へ」未経験から妊娠中に飛び込んだリーフレタス栽培【ママの履歴書】後編

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