筑波大学教授の徳田克己先生が、ママの子育てに関する悩みに答えてくれるコーナー。
今回のママの悩みは、「母子分離」です。
子どもが登園時に泣くのは 親の愛情をたっぷり受けた証
バス停で泣いているのはわが子だけ…そんなとき、ママは自らを責めたり、子どもを叱ったりしてしまいがちです。
実は、入園前に親から愛情をたっぷり受けて育った子どもほど、家庭から外の社会への適応には時間がかかります。「いやだ!」と泣く子どもは、園がいやなわけではなく、大好きな家族、特にお母さんと離れるのがいやなのです。それは、愛情を十分に受けて育った証です。
その意味では、園に行くのをいやがったり、慣れるのに時間がかかったりするのは、決して悪いことではありません。園の先生たちもそう思っています。
お母さんと離れることに慣れ 少しずつ泣かなくなります
お母さんと離れて不安になることを「母子分離不安」と言います。不安が強い子どももいれば、そうでもない子どももいて、いろいろです。
お母さんと離れて泣く現象は、4月の半ば頃までに徐々に減っていきます。「お母さんと離れても怖いことはない、園にいても安心だ」とわかってきて、適応していくからです。ただ、ゴールデンウィークや夏休みの後は、再び不安が強くなり、泣く子どもが増えます。
「泣く子どもを無理に行かせていいの?」と悩むかもしれませんが、園に通うためにお母さんと離れるのは、子どもに無理をさせているわけではありません。子どもの心の発達のために必要な体験です。むしろ、この時に過保護に接し、園バスに乗せないでお母さんが子どもを送って行ったり、お休みさせたりするのは、子どもの適応を妨げることになります。
親はどっしりと構えて 子どもを応援し続けましょう
では、子どもが泣くときはどうすればいいのでしょうか。「パパとママはいつも僕(私)を守ってくれている」と子どもがしっかり感じとれるように、応援し続けてください。
そして、子どもがどんなに泣いても、園バスには乗せてください。「子どもは今、園に慣れようとがんばっているんだ」と考えて、あとは、母子分離のプロである先生たちにまかせましょう。
子どもが心配だからといって、子どもを叱りすぎたり、指示しすぎたり、また、先生にいろいろなことを要求したりしないでくださいね。どっしりと構えて、子どもを見守りましょう。