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夫婦が加害者・被害者とならないために、夫婦でできること【ママのこまりごと・後編】

身体的暴力や言葉の暴力、経済的な暴力がDVとして問題視される中、取り沙汰されることが少ない「夫婦間の性暴力」。声をあげることができなくても「夫婦なら受け容れなければいけないの?」「したくないのに夫が怖くて拒めない」と、一人で悩み苦しんでいる女性も多いのではないでしょうか。

ママの悩みや心配ごとを取り上げていくこのコーナー、今回は“夫からの性暴力”に焦点を当て、DVや虐待などによるトラウマからの回復をサポートする「NPO法人レジリエンス」にお話を伺います。後編は、問題に対して夫婦間でもできること、被害を受けている方へのアドバイスをいただきました。

NPO法人レジリエンス
さまざまな原因による心の傷つきやトラウマから回復するための支援活動に取り組み、各地で講演や研修、講座(東京・横浜)を開催しています。
公式サイト:http://resilience.jp/

夫婦で改善・予防できることもあるのでしょうか?

一番は、夫婦共に、正しい性の知識を身につけることだと思います。ごく普通の夫婦で、夫も悪気はないのに、知識がないゆえに、お互い加害者・被害者になってしまうケースも多いのです。女性にとって出産後の性行為は負担であることなど、夫婦で知識を共有できるのが望ましいですね。その上で、お互い恥ずかしがらずに素直な気持ちを伝えあい、相手の気持ちを受けとめられる、オープンな関係を築いていけるのが理想です。

性暴力とまではいかなくても、夫婦間の風通しをもう少し良くしたいと思う夫婦が、夫婦の性をテーマにした講座を一緒に受けるケースも、少しずつですが増えてきていますよ。

 

被害を受けている場合、どうすればいいでしょうか

パートナーと離れられる・離れられないなど、それぞれに状況がちがうので答えも人それぞれですが、どんな人にも言えるのは、今よりも生きやすくなる方法は、必ずあるということ。

それを一緒に見つけていってくれるグループや機関、専門家とつながるのが、回復への一つの道だと思います。私自身、ある講座を受けたのをきっかけに「私はとても傷ついていたんだ」と気づいたことで、自分を受け容れられるようになりました。

もしかしたら、相談をして、かえって傷ついてしまうこともあるかもしれません。それでも、決してあなたが悪いわけではないし、きっと、一緒に考えてくれる人とつながれることを信じていてほしいなと思います。

 

すぐに相談できない場合でも、できることはありますか?

本やインターネットで情報を集めることから始めてみましょう。知識を得て、自分に起きていることを理解できるだけでも、心が落ち着きます。相談できるタイミングも、人それぞれです。

踏みきれないからといって、自分を責めることはないんですよ。まずは「知ること」が、最初の大事なステップです。そこから少しずつ、少しずつ力をつけていきましょう。

 

最後にメッセージをお願いします

夫婦間性暴力の問題は、心の問題、社会の問題も複雑に絡んでいます。それだけに、回復には時間がかかることもあります。大事なのは「わたしがわたしを大切にする」こと。自分のペースでいいから、少しずつ、歩き出してもらえたらと思います。

心が傷ついたときに読みたい本 「傷ついたあなたへ わたしがわたしを大切にするということ」 著:NPO法人レジリエンス 発行:梨の木舎
DVや性暴力、あるいは他の何かに心が傷つけられたときに手にとってほしい、トラウマから回復するための実践的なワークブック。DV経験者の著者が語りかける、温かな言葉にも癒されます。誰にも相談できなくて、一人で悩んでいる方にもおすすめです。
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