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命の大切さを子どもに伝える【子どものココロ】

筑波大学教授の徳田克己先生が、ママの子育てに関する悩みに答えてくれるコーナー。
今回のママの悩みは、「命の大切さを子どもに伝える」です。

最近、4歳の息子が「死ね」「殺す」などの言葉をよく使います。平気で虫を踏みつぶしたり、高所から飛び降りたりすることも…。命の大切さについて、どのように教えればいいでしょうか。
「そんなことをしたら死んじゃうよ。死んだらママやパパに会えなくなるよ」などと、子どもをしつけるために「死」を持ち出すことはありませんか?そのような伝え方では、子どもは「死」を恐がるだけで、命の大切さを理解することには結びついていきません。

「そんなことしたら死んじゃうよ」 はNGなしつけ言葉

事故や自然災害など、命を脅かす危険がそこかしこに潜んでいて、日々、身を守るために気をつけなくてはならないことは山ほどあります。
親としては、子どもが何をするにも心配がつきまとうことでしょう。

しかも、子どもはいろいろなことにチャレンジし、時にはケガもしながら、どこまでが安全か、どこからが危険かを認知していくもの。
危ないからと、何もかも抑止するわけにもいかないのです。

ただ、子どもは時に、高所から飛び降りる、お友達に物を投げつける、など本当に危険なことを大胆にやろうとすることがあります。
そんな場面を目の当たりにしたら、お母さんお父さんはつい「そんなことしたら死んじゃうよ」などと子どもに言ってしまうのではないでしょうか。

それは子どもに恐怖を植えつけるだけの、絶対に避けなければならない、しつけ言葉です。
本当に自分やお友達が死ぬわけではないので「お母さんはウソつきだ」ということにもなります。

子どもを脅すのではなく、次はどうしたら良いかを子どもに考えさせ、自分の言葉で表現させるようにしましょう。

 

「死」を通して 命の大切さを伝える

すべての生き物の命には限りがあります。家族や親戚、飼っているペットの死など、子どもも身近で死を体験していきます。
3歳くらいまでの子どもは死の意味をよく理解していないので、強い悲しみを感じることはありませんが、かわいがっていたペットの犬と散歩に行けなくなった、ご近所のおばあちゃんが亡くなり、お葬式でたくさんの大人が泣いていた――そうした体験を通して、少しずつ、死や命の意味を理解していきます。

中でも、多くの人が集まり、悲しみ涙し、故人に感謝する葬儀は「死ぬとはどういうことか」「命とは何か」を感じることができる場です。
その意味では、お葬式に参列する、テレビで葬儀の場面を見る、なども子どもの経験値を増やすうえで大切なことです。

命を題材にした絵本も多く、人の死や誕生の場面を描いて命の大切さを伝える作品もあります。
こうした絵本を通して「死」をありのままに示しながら、死を恐れさせることなく、命の大切さ、大切な人が死んでしまっても、その人と過ごした時間と思い出は心の中に生き続けることなどを、子どもに伝えることができます。

 

*死ぬってどういうこと?の巻*

 

筑波大学 医学医療系教授 教育学博士 臨床心理士 徳田 克己先生
子どもたちが笑顔で生き生きと過ごせることをめざし、研究・実践に取り組む。幼稚園や保育所、子育て支援施設を回り、発達相談に応じている。最近はディズニー映像の教育的効果や「クレヨンしんちゃん」の分析などの実践研究を手がけている。保護者を対象にした講演会や「お父さん講座」なども好評。
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