筑波大学教授の徳田克己先生が、ママの子育てに関する悩みに答えてくれるコーナー。
今回のママの悩みは、「命の大切さを子どもに伝える」です。
「そんなことしたら死んじゃうよ」 はNGなしつけ言葉
事故や自然災害など、命を脅かす危険がそこかしこに潜んでいて、日々、身を守るために気をつけなくてはならないことは山ほどあります。
親としては、子どもが何をするにも心配がつきまとうことでしょう。
しかも、子どもはいろいろなことにチャレンジし、時にはケガもしながら、どこまでが安全か、どこからが危険かを認知していくもの。
危ないからと、何もかも抑止するわけにもいかないのです。
ただ、子どもは時に、高所から飛び降りる、お友達に物を投げつける、など本当に危険なことを大胆にやろうとすることがあります。
そんな場面を目の当たりにしたら、お母さんお父さんはつい「そんなことしたら死んじゃうよ」などと子どもに言ってしまうのではないでしょうか。
それは子どもに恐怖を植えつけるだけの、絶対に避けなければならない、しつけ言葉です。
本当に自分やお友達が死ぬわけではないので「お母さんはウソつきだ」ということにもなります。
子どもを脅すのではなく、次はどうしたら良いかを子どもに考えさせ、自分の言葉で表現させるようにしましょう。
「死」を通して 命の大切さを伝える
すべての生き物の命には限りがあります。家族や親戚、飼っているペットの死など、子どもも身近で死を体験していきます。
3歳くらいまでの子どもは死の意味をよく理解していないので、強い悲しみを感じることはありませんが、かわいがっていたペットの犬と散歩に行けなくなった、ご近所のおばあちゃんが亡くなり、お葬式でたくさんの大人が泣いていた――そうした体験を通して、少しずつ、死や命の意味を理解していきます。
中でも、多くの人が集まり、悲しみ涙し、故人に感謝する葬儀は「死ぬとはどういうことか」「命とは何か」を感じることができる場です。
その意味では、お葬式に参列する、テレビで葬儀の場面を見る、なども子どもの経験値を増やすうえで大切なことです。
命を題材にした絵本も多く、人の死や誕生の場面を描いて命の大切さを伝える作品もあります。
こうした絵本を通して「死」をありのままに示しながら、死を恐れさせることなく、命の大切さ、大切な人が死んでしまっても、その人と過ごした時間と思い出は心の中に生き続けることなどを、子どもに伝えることができます。