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子どもに届く魔法の言葉「オノマトペ」を使って子育てしよう【子どもと向きあう】

私たちが普段、何げなく使っている 「オノマトペ(擬音語・擬態語)」。その効果が今、教育やスポーツ、医療など 幅広い分野で注目されています。

そんなオノマトペを子育てに活かすには? オノマトペ研究家の藤野良孝さんに、お話を伺いました。

藤野 良孝 さん
オノマトペが心身に与える影響を研究する、オノマトペ研究家。朝日大学経営学部准教授。スポーツ言語学会理事。著書に「子どもがグングン伸びる魔法の言葉」(祥伝社)「スポーツオノマトペ-なぜ一流選手は声をだすのか」(小学館)など。
ブログ「私のオノマトペスタイル 藤野良孝

 

「オノマトペ」とは どういうものでしょうか?

オノマトペというのはフランス語で、擬音語と擬態語の総称です。たとえば、猫が「ニャーニャー」鳴く、雨が「しとしと」降るなど、物が発する音や、物事の状態をあらわす言葉がオノマトペです。

特徴は、通常の日本語に比べて、表現がとても豊かなこと。同じパンの表現でも「生地がやわらかく、適度な食感もあるパン」と、「ふっくら、もちもちのパン」とでは、オノマトペを使った「ふっくら~」のほうが、いかにもおいしそうでしょう?

オノマトペには伝える力、心にはたらきかける強い力があるのです。

 

オノマトペをどのように 子育てに活かせますか?

子どもに伝えたいことを、良いオノマトペに変換して伝えることです。

たとえば、言うことをきかない子どもに「いい加減にしないと怒るわよ!」と怒鳴りつけると、子どもはその語気の強さと否定的な言葉に落ちこんで、自己肯定感が弱くなります。

ママも「言い過ぎちゃった…」と、へこみますよね。こんな時はオノマトペを使って「ママ、プンプンよ」と言い替えると、印象がまるで違います。言葉がやわらかいので、子どもは「そうか、言うことをきこう」とすんなり受けいれられるし、ママもヒートアップしないですみます。

また、「怒るわよ!」は上から目線の否定的・支配的な表現ですが、「プンプンよ」は、ママの気持ちを伝える表現です。子どもを否定・支配しないで、ママと子どもがニュートラルに向きあえるから、子どもの自己肯定感が高まるのです。

同じように、急いでほしい時は「早くしなさい!」のかわりに、「タッタカタッタカしようね」。食事の時は「よく噛みなさい」より、「もぐもぐ」と噛む動作をそえて言うと、子どもはそれこそ、ごはんが溶けるまで噛みますよ。愛情表現は「大好き」だけでなく、「ぎゅーっ!」と言いながら抱きしめてあげる。これは、パパにも有効です(笑)。

直してほしいこと、身につけてほしいこと、「大好き」の気持ち。子どもに伝えたいことはすべて、良いオノマトペに言い替えることができます。同じ意味でも、ポジティブなオノマトペを使えば「ママはあなたを愛しているの、だから言うのよ」と、子どもを肯定しながら伝えることができます。

しかも、オノマトペは気持ちをこめて言いやすいので、普通の言葉よりも、より伝わります。オノマトペはまさに、子どもの心に届く魔法の言葉なんですよ。

子どもを肯定するオノマトペ、気持ちがほっこりするオノマトペをたくさん使って育てましょう。自己肯定感のある子、人の気持ちがわかる子に育ちますよ。

 

ママたちにエールをお願いします

落ちこんだ時は、割り箸を口にはさんで、鏡を見ながら「にぃー、イッイッイッ」と発声してみましょう。無理にでも笑顔をつくると、脳がその気になって、幸せホルモンを出します。気持ちがふわっと軽くなりますよ。

「にぃー♪」でリフレッシュして、子どもとまた、笑顔で向きあってくださいね。

 

 

 

(この記事はクルール2015年6月号に掲載した記事に加筆・修正したものです。)

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